道の駅 Farmus 木島平

工場をリノベーションし、「農」の拠点として再生

デザインコンセプト
担当:三浦丈典/スターパイロッツ

農家の高齢化や輸入農作物の増加といった問題に対し、木島平村は農業の6次産業化を促進させるため、閉鎖されたトマト加工工場を買い取り、「農の拠点施設」として再生活用することを決めた。この施設は道の駅としても機能し、観光拠点であると同時に、村民の日常生活を向上させることも目的とされている。

すべてがコントロールできる新築工事や内装工事と違い、既存建物にさらに何かを加えた時に、それが雑多さを伴った新しい一貫性のようなものを持つべきだと考えた。どんなものが来てもそれを拒絶せずに受け入れ、それによって損なわれない大らかなルールのようなものを空間の基本構成とすべきとした。

はじめて敷地を訪れた時、山々に囲まれた田畑の中に、軽やかなビニールハウスが夕日を受けてきらきらと輝いているのがとても印象的で、それこそが木島平の風景であると感じた。そこで、工場が持つ高い天井高や特殊な構造設備などをできるだけ残しながら、さまざまな機能を持ったビニールハウスのような半透明の小屋を工場内部へと貫入させた。いくつかの小屋は内部へ採光や通風を確保し、古い工場の構造補強としても機能している。工場の大空間に対し、追加する小屋の小空間を効果的に対比させることで、まるで外にいるようなのびやかさと、家のように落ち着いた心地よさを受けるよう配慮した。冬に行く場所のない雪深い村落には、こういった外のような室内空間は日常生活に大きな潤いを与えてくれる。

仕上げ材として、工場の無骨な素材感に対して、新しく加えられる素材は一般的な建築仕上材ではなく、敷地の外の農村風景から流れ込んできたようなものが適していると考えた。たとえば既存建物の外壁には田んぼのあぜ道の仕切りに使われる農業資材「あぜボード」を下見張りし、室内床壁にはフローリングの代わりに「麦わらボード」を採用した。

機能としては食品加工工場、マーケット、キッチンスタジオ、レストラン、カフェ、インキュベーターオフィスなどからなり、これらは「農村木島平株式会社」によって運営されているため、施設内で無駄のない食材流通が可能となる。たとえばマーケットで売れ残った食材がレストランの日替わりメニューとして活用されたり、加工工場で乾燥パウダー化されて保存されたりする。工場でつくられた焼きたての米粉パンがマーケットに並んだり、日替わり野菜を使ったジェラートやスムージーがカフェで販売される。

また、安定した販路確保を目指し、近隣の学校給食や山間部に住む高齢者への弁当の定期宅配など、施設内に留まらない流通ネットワークを確保している。こうしたプロセスが建物を介して「見える化」されることで、新しい農業のビジネスモデルとして内外にアピールし、農村エリアに住む人々への起業意識を促す。キッチンスタジオやインキュベーターオフィスはそういった人的交流を促す場でもある。

新築では到底つくることのできない大空間と、まるで現代彫刻のように散らばるかつての工場設備は、「古いものを大切にし、新しい価値を加えながら未来へ引き継ぐ」という木島平村の姿勢を継承している。

所在地 長野県下高井郡木島平大字上木島38-1
設計 三浦丈典 / スターパイロッツ
設計協力 志村拓馬 / 志村設計事務所
構造設計 鈴木啓 / A.S.Associates
設備設計 中村滋宏、森栄次郎 / 設備計画
照明計画 早川亜紀 / 灯デザイン
家具デザイン 大塚哲弘 / Hiro+associe
アートディレクション 富田光浩 / ONE INC.
ディスプレイ 板垣潮美
アートピース サジマミキ
敷地面積 18221.11m2
延床面積 1877.79m2
構造 鉄骨造
階数 地上1階
撮影 淺川敏(写真1、3~8枚目)、金子俊男(写真9~11枚目)、三浦丈典(写真2枚目)

※(上から)写真1~7は淺川敏

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