セラミックのあたらしい可能性を探る「CERAMIC LIFE DESIGN AWARD 2016」。受賞作品展が開催

セラミックのあたらしい可能性を探る「CERAMIC LIFE DESIGN AWARD 2016」。受賞作品展が開催

1万2000年の歴史を有するといわれる日本のセラミック(陶磁素材)。現在、研究と技術開発によってセラミックの可能性は、さらに広がっている。「CERAMIC LIFE DESIGN AWARD」は、そんな多くの可能性を秘めた素材への関心を高め、さまざまな視点で暮らしに寄り添うデザインを提案する場として開催されたアワードだ。

「CERAMIC LIFE DESIGN AWARD」メインビジュアル

「CERAMIC LIFE DESIGN AWARD」メインビジュアル

記念すべき第1回目のテーマは、「くらしを彩るあかり」。セラミックをメインとした、住空間における「あかり」の提案を募集した。障子越しのあかりや木漏れ日、すだれ越しの日差しなど、あかりであれば光源を使っても良し、自然光を利用しても良しとされていた。第1次選考は画像での審査、第2次選考は素材を限定しない、プロトタイプでの審査がおこなわれた。応募総数は223点で、その内訳はセラミックを専門としていない人からの応募も多くあったそうだ。素材を限定しなかったため、専門ではない人でも応募できる、間口の広いコンペとなっていた。

11月2日に外苑前のyamagiwa tokyoにて、入選・入賞作品の授賞式が行われた。作品とあわせて授賞式の様子を紹介したい。

グランプリ Knit Light/佐川翠里

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Knit Light/佐川翠里

調湿に優れている多孔質セラミックを使用した、壁かけ照明の提案。ひとかたまりのように見えるが、実は7種類のユニットの組み合わせでできている。たくさん組み合わせたり、小さなかたまりで使ったり、空間やシーンに合わせて好きな数を配置できる作品。平らな壁の上にセラミックの照明が柔らかなニットのように広がる。

Knit Light/佐川翠里

Knit Light 設置例

Knit Light/佐川翠里

Knit Light 設置例

陶磁がもつ自然な風合いと柔らかなフォルムを生かし、デザインしたという佐川翠里さん。「ニットをイメージとして使ったのは、モダンなデザインが流行っている中で、昔からあるような文様や柄を生活に取り込めればいいなと思ったからです。いろいろな使い方ができるという点を評価していただき、とてもうれしく思っています」と、話してくれた。

金賞 あかりと景色を選ぶ庭/齋田武亨

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あかりと景色を選ぶ庭/齋田武亨

普段は建築設計をしている齋田武亨さんの作品は、都市部など狭小化する住環境において、直射日光が当たらず、安定した柔らかい光が差し込む“北向きの庭”をつくりだす装置「セラミックリーフ」を提案。快適な環境を求めて向きを変える植物の葉のように、周辺条件に合わせて向きを変えられる「セラミックリーフ」を用いて、視線遮蔽や眺望確保の制御を行いつつ、リーフの光の反射を利用して室内の明るさの確保を行うというしくみ。

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あかりと景色を選ぶ庭/齋田武亨:セラミックリーフの向きは、手動で簡単に変えられる

「セラミックに関する専門的な知識がなかったので、陶器をここまで薄くしてしまって大丈夫かを知り合いの陶板屋さんに相談しながら進めていきました。照明作品が多いなか、空間寄りの作品を選んでもらえてうれしかったです。今回の制作でセラミックの性質や特徴を知ることができたので、今後の仕事にも役に立ってくると思います」と、受賞した素直な感想を聞いた。

銀賞 EARTH/進藤篤、前原良平

EARTH/進藤篤、前原良平

EARTH/進藤篤、前原良平

サンゴや何かの殻のような不思議な外観の作品は、大学の先輩後輩である進藤篤さんと前原良平さんがつくったもの。古くからある火鉢の、力強くも繊細なあかりを現代の技術を取り入れてつくるという提案。セラミック素材の3Dプリンティング技術を使用することを想定している。時代を越えて使えるような作品を目指したという。

銀賞 MINOMO(ミノモ)/須田伸一、衣袋宏輝、樋渡常司、村山雄太

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MINOMO/須田伸一、衣袋宏輝、樋渡常司、村山雄太

透光性の陶磁素材をベースに「光×水×振動」の要素をつかってつくられた作品。日常で意識的に照明を見るようなことはあまりないが、そんな当たり前になっている光をどうやったらおもしろく見せられるか考えたもの。プログラミングによる振動で水面のような揺らぐ様子をつくり出しており、じっと見ていると水が踊っているように見える、独特の表情を持つ。デザイナー、エンジニア、窯元、学生と職業や所属がバラバラのメンバー4名が、適材適所で作品を完成させた。

銀賞 ゆれるあかり、香り/松宮佳汰

ゆれるあかり、香り/松宮佳汰

ゆれるあかり、香り/松宮佳汰


視覚・聴覚・嗅覚で楽しめる香皿。ライトを点灯させたスマートフォンの上に、貫通穴から光が漏れるように香皿を置き、お香を焚く。そして音楽を流せば、香とあかりで照らし出される煙の揺らぎを眺めながら、ゆったり過ごせるという作品。大学の教授のすすめでコンペに出してみたという松宮佳汰さん。これまでセラミックに関する知識はなかったが、今回制作にあたって得た知識を、今後の勉強や制作に活かしたいと話してくれた。

「CERAMIC LIFE DESIGN AWARD」の開催委員長であり、愛知県立芸術大学の教授・友岡秀秋さんは、「今回の受賞者のみなさんが、10年後、20年後に審査員になってくれるような、デザイナーを育てられるアワードになるといいなと思います。作品をつくって終わりではなく、このアワードがきっかけになれば。人とのキャッチボールの中で作品をつくっていくデザイナーになってほしいですね。これからも第2回、第3回とアワードを続け、デザイナーを熟成させていきたいです」と、アワードについての熱い想いを語ってくれた。

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愛知県立芸術大学 教授・友岡秀秋さん

審査委員と受賞者のみなさん

審査委員と受賞者のみなさん

今回紹介した作品は、2017年1月12日から16日まで、名古屋の「Yamagiwa Nagoya」にて展示される。実際に作品を見て、新しいセラミックの可能性と素材に挑戦した受賞者の想いを感じてみてほしい。

CERAMIC LIFE DESIGN AWARD 2016 入賞入選作品展(名古屋展)
日時:2017月1月12日(木)~1月16日(月)11:00~18:00
会場:Yamagiwa Nagoya
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