【価値を高める仕事術】クライアントから、共にアイデアと仕事を生みだすパートナーへ。-株式会社ソニックジャム

【価値を高める仕事術】クライアントから、共にアイデアと仕事を生みだすパートナーへ。-株式会社ソニックジャム
また一緒に仕事をしたくなるようなチームには、日々仕事を進めるなかで、肝になるテクニックや原動力となる想いが潜んでいるはず。本連載では、さまざまな会社のさまざまな職種の方々に、【価値を高める仕事術】と題してその秘訣を各社3回にわたって解き明かしていきます。前回「体験づくり」というキーワードで仕事術を語ってもらった株式会社ソニックジャムから、今回は「ビジネス共創」という切り口で一緒に新たなビジネスを創出することになったきっかけを伺います。代表取締役の村田健さんと、プロデューサー/プランナーの松澤考論さん、そしてビジネスを共創するパートナーである、株式会社共同通信デジタル営業本部リーダーの田中孝幸さんの、会社の壁を超えた付き合いとは。
出会いは制作コンペ

——まず、2社の付き合いはどのようにはじまったのでしょうか。

ソニックジャム・松澤考論さん(以下、松澤):最初は普通に受託の案件で、共同通信デジタルさんのコーポレートサイトのリニューアルでした。その際の共同通信デジタルさん側の担当が田中さんだったんです。コーポレートサイトの制作後しばらく経って、ほかでニュースを使いたいと思うプロジェクトがあり、そこで田中さんのところへ相談しに行くようになりました。田中さんは新しい取り組みにチャレンジしてくれる方だったので、こんなことできたらおもしろいんじゃないかという夢のような話をしていたのが徐々に現実的になり、現在は普通の受託とは異なる、共創プロジェクトを仕かけはじめています。新しいことを考えるのはもちろん、お互いのビジネスが発展するスキームを一緒に考えていこうとしています。

共同通信デジタル 共同通信のニュース配信などニュースを核にしたサービスを提供する共同通信デジタルのコーポレートサイトをリニューアル。縦長1ページ構成のトップでは、同社が配信する膨大なニュースのデータを分析し、可視化したインフォグラフィックスが、WebGL によって実装されている。 <a href="https://corp.kyodo-d.jp/" rel="noopener" target="_blank">https://corp.kyodo-d.jp/</a>

共同通信デジタル
共同通信のニュース配信などニュースを核にしたサービスを提供する、共同通信デジタルのコーポレートサイトをリニューアル。縦長1ページ構成のトップでは、同社が配信する膨大なニュースのデータを分析し、可視化したインフォグラフィックスが、WebGL によって実装されている。

共同通信デジタル・田中孝幸さん(以下、田中):サイトリニューアルに伴い、サービスの理解・整理やニュースを使ったインフォグラフィックスなどに初めて取り組み、それがうまくローンチできたことで、社内でもすごく評判が良いです。公開から4年経ちますが、いまだにグループ内でよくできたサイトと評判で、デザイン性も非常に高いと評価いただいています。弊社のある汐留メディアタワー2階のサイネージに特設コンテンツとしても流れています。

株式会社共同通信デジタル 営業本部 第2営業部 リーダー 田中孝幸さん

株式会社共同通信デジタル 営業本部 第2営業部 リーダー 田中孝幸さん

——共同通信デジタルという会社について改めて教えてください。

田中:「ニュース屋」という言葉が近いかもしれません。ニュース提供のサービスはさまざまなものがありますが、その中でもデジタル領域で一番シェア率が高いのがデジタルサイネージへのニュース提供で、都内の電車内サイネージは、ほぼ弊社のニュースをご利用いただいています。私はその担当の営業を長らくやっていたんですけども、事業の進化に伴い、広告やサイトリニューアルプロジェクト、コンテンツ制作など幅が広がりました。次の事業進化を見据えるタイミングで、ソニックジャムさんと一緒にプロジェクトに携わるということが上手くマッチしていて……とても頼りにしています!

ソニックジャム・村田健さん(以下、村田):うれしいですね。最初にビジュアライズのコンテンツ企画を考えた時も、共同通信=ニュースというイメージはもちろんあるものの、「共同通信“デジタル”」がクライアントだったので、どうやってデジタルを使ってニュースをビジネスにしていくかが鍵でした。そのため、すでにある膨大なニュースのデータをサイト上にビジュアライズしていくという企画は、まさに共同通信デジタルさんが会社としてやっていることにぴったりでした。背景の世界地図は一見ただの背景画のように見えるんですが、実は光っているところはニュースが話題になっているということを表現しています。直感的に伝わり、興味を持って見てもらえるようなコーポレートサイトにできたという自負はあります。

株式会社ソニックジャム 代表取締役 村田健さん

株式会社ソニックジャム 代表取締役 村田健さん

他社からの依頼が、自社で新しいことをはじめるチャンスだった

——コーポレートサイトのリニューアルがきっかけで、「TOYOTA みえるMIRAI」Webサイト制作プロジェクトへと繋がっていったのですか?

TOYOTA みえるMIRAI
これからの水素社会を盛り上げるためのプラットフォームとなるサイト「みえるMIRAI」。TOYOTAの燃料電池自動車「MIRAI」試乗者の声や水素関連のニュースなどをアーカイブし、水素社会への注目の高まりを可視化。ニュースは共同通信社からの提供で、水素関連の記事を毎月アーカイブした。

松澤:そうですね。まず本プロジェクトの説明になりますが、トヨタの「MIRAI」という水素カーが一般に普及してきていることを表現していく必要がありました。トヨタがFCVの市場をリードしていっているということを世の中に表現していきたい。それには自ら水素カーについて語るのではなく客観性が必要だという観点から、 世の中から支持されているニュースを見せていく表現ができればと考えました。そこで、「ニュースといえば田中さん!」と、ご相談をさせていただいた流れです。共同通信からいろんなメディアにニュースを提供していますが、今回は一企業のサイトへの提供なので特殊な形で協力してもらいました。

株式会社ソニックジャム プロデューサー/プランナー 松澤考論さん

株式会社ソニックジャム プロデューサー/プランナー 松澤考論さん

——言ってみればイレギュラーな情報提供までして、一緒に取り組もうと思ったのはなぜですか?

田中:何をモチベーションに稟議を通したかってことですよね(笑)?うーん……信頼、ですかね。どの企業でもそうだと思うのですが、誰かが踏み出さないと新しいことはじまらないんです。サービスの変革や新たなイノベーションを自分たちだけでつくるのが難しいなかで、きっかけをくれる仲間に出会うのも、すごく稀だと思うんです。この相談をいただいた時に「これはチャンスだ!」と感じましたし、難しいことにも取り組んで解決していくことができるパートナーだと信頼していました。ソニックジャムさんが誠意ある仕事をすることは実感していたので、弊社としても協力しながら新しいことができればと思いました。

松澤:ニュースを供給する会社のビジネスが今後どういう風に変わっていくのか、一緒に考えられるというのはとても魅力的です。新聞社と通信社の取り組みは違うと思っていて、新聞社はそれぞれに個性がありますが、通信社はフラットな目線だからこそ、新聞社に対して記事を提供することができる。中立性をもっていて、かつジャーナリズムが生きている会社のイノベーションはもっといろいろ幅がある気がしていて、そこがいちばんおもしろいと思って一緒に取り組みたいと思いました。

田中:弊社にはインフォグラフィックスの元になるようなデータがたくさんあります。そういったデータを上手く活用してお客さんに届けることで価値が何倍にもなっていきますし、共同通信グループとして魅力をもっと伝えていけるのかなと思っています。もっともっとチャレンジしていきたいですね。

——ただ情報を売買するだけではなく、さらに情報を活用していくのは、どんなジャンルと相性が良いのでしょうか。

田中:スポーツデータをビジュアライゼーションする分野などは、まだ余地があると思います。ここはもっとチャレンジしたいです。また記事自体の価値をどうデザインしていくかも考えなければいけない。記事や写真は何万点とあるので、それを今までとは違う別の魅せ方で活用すればニーズが増えていくと思います。

松澤:ニュースは明日には価値が半減して、明後日にはもっと価値が低くなる。常に新しいものに価値があると思っているんですけれども、その辺りをユーザー目線で時系列で価値が残るものに見直すことができれば、新しい価値がつくれる可能性を感じています。

共創パートナーと関係値を築くには

——田中さんと松澤さんのおふたり会話から、意思疎通が上手くいっている様子を感じます。

田中:おかげさまでとても良い関係性で、ウマが合うといいますか。「ひとつのプロジェクトで共創は終わりじゃない」と、お互いが認識できているからだと思います。まだ案件になっていなくてもお互いの意見を言い合えたり、継続的に議論できる環境をつくれているのが一番のポイントですかね。

村田:新しいことをやりたいという意欲がある田中さんと、その周りの方々に出会えたことはとてもラッキーだと思います。担当の方が全然違う人だったら普通に仕事をしておしまい、となっていた可能性も大いにあります。

松澤:最近では2社だけでなく、他の会社の人を巻き込んだりもしはじめています。ネットワークを僕らだけのモノにするんじゃなくて、広くつなげていこうみたいなところもあったりします。ある意味でカップルと同じで、ふたりだけの関係に止まらず、お互いの友達をクロスオーバーすると逃げるに逃げられなくなります(笑)。コミュニティ化していくことに近いものがあるかもしれません。

田中:今までと違った形でニュースを活用してコーポレートサイトをつくっていただいたことから、グループ内からも「こんなことをやりたい」だとか「こういう仕事ってどうやってはじまったんですか」と質問もありました。実際に、グループ内の別の部門からもソニックジャムさんと仕事をしたいとの意見まで出ています。お互いに協力して創った仕事が全体の資産になりつつあるというところですね。

村田:田中さんと松澤の年齢が近いというのもあると思うんですよね。自分の裁量がありプレイヤーでもあるという、ちょうどいい世代が集まっていることもあるのでは。

——お互いが歩み寄るタイミングが合うのは、幸福な出会いですね。

松澤:一般的なプロジェクトでは企画のコアを握っているディレクターが一人で悩みがちだったりします。しかし、いま一緒にやっている形では、抱え込みがちな悩みの部分を一緒に共有しながら進めることができていると思います。そのため、途中で考えることをストップさせずにお互い補完しあえているので、いい意味での無茶ができているのかもしれません。

田中:天気は「予報」で未来の情報、速報「ニュース」は現在の情報、「スポーツデータ」は過去の情報の蓄積、同じ情報でも軸が多様です。生産する側の知識はありますが、それを分かりやすくビジュアライズする技術をソニックジャムさんのレベルまで育てるのは本当に難しい。そこの部分を松澤さんはじめ皆さんから学んでいきつつ、いかに補完しあえる仲間を増やしていくのかが鍵なのかなと。これから周りの社員にもどんどんそういうことを伝えていきたいですね。

構成・文・撮影:八木あゆみ 編集・聞き手:瀬尾陽(MonitoriPlovdiv)

株式会社ソニックジャム

株式会社ソニックジャム

人を動かすクリエイティブ、未来につながるプロジェクトを生み出すデジタル・クリエイティブ・プロダクション。デジタルコミュニケーション戦略立案、インスタレーションデバイス開発、WEBサイトの企画・制作、映像・モーショングラフィックス制作、UX/UIの設計、iPhone/Androidアプリケーション開発を手がけている。