Vectorworks ベクターワークス活用事例

不整形な敷地だからこそ本領を発揮したVectorworks - カスケード原宿(2)

UDS株式会社/有限会社ソラ・アソシエイツ

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不整形な敷地だからこそ本領を発揮したVectorworks - カスケード原宿(2)
UDS株式会社(高宮大輔安藤数保
有限会社ソラ・アソシエイツ(藤田久数塩井弘一
「カスケード原宿(CASCADE HARAJUKU)」は、表参道から一本奥まった敷地にある食の複合施設。幾何学的な形状をもつ建物は開放感に溢れ、中央には建物4階にわたる吹き抜けがある。第9回 International Design AwardsのArchitecture/Landscape部門金賞受賞、JCDデザインアワード2016 BEST100にも選ばれ、国内外からの注目を集めている。企画・設計、ランドスケープ・照明を担当した4名に、施設の特徴やVectorworksの活用状況についてうかがった。
(左から)安藤数保さん・高宮大輔さん(UDS株式会社)塩井弘一さん・藤田久数さん(有限会社ソラ・アソシエイツ)

(左から)安藤数保さん・高宮大輔さん(UDS株式会社)塩井弘一さん・藤田久数さん(有限会社ソラ・アソシエイツ)

Vectorworksが各階のランダムに重なる積層テラスを生んだ

高宮:カスケード原宿は、Vectorworksでなければ実現できない計画でした。まさに、Vectorworksが生んだデザイン計画だなとあらためて思います。というのも、中庭から見上げた各階の形状は似ているようで、実はテラスの角度を各階で微妙にズラした設計になっています。当初の計画では、まっすぐな形状で進めるつもりだったんですが、Vectorworksの画面上で角度を振りながら検討したところ、各テナントのスペースの広がり感が増すうえに、上の階から見下ろしたり、中庭から見上げたりしたとき、路面店のように各階のシーンが抜けて見えることに気づいたんです。お店の入口前のテラスに看板を置くのもひとつの演出ですが、それよりも、そこでお客様が美味しいそうに食べている姿が積層されるシーンのほうが、とにかく刺激的です。この建物の一番の目玉になるとクライアントに提案しました。

こういった“空気感”を相手に伝えるのに、Vectorworksは優れていますね。他のCADソフトも使うことがありますが、このような表現は難しいです。企画の段階から、クライアントとの検討資料として利用できるので、Vectorworksはある意味コミュニケーションツールとも言えます。

吹き抜けに面している各テナントの入口にあるテラス(撮影:アック東京)

吹き抜けに面している各テナントの入口にあるテラス(撮影:アック東京)

2社間で共通ソフトを活用し、手間を省いて効率アップ

安藤:チーム内で共通のソフトを使うことにもメリットを感じています。弊社もソラ・アソシエイツさんもVectorworksを利用しているので、今回も図面データのやりとりを2社間で頻繁に行いました。Vectorworksは、特に色付けの表現が優れていますし、透明度や線の種類の調整などが共有できるため、塩井さんが綺麗に仕上げてくださった図面をそのままプレゼン用の資料として使える点も良かったですね。他のCADソフトでやりとりをすると、線などの整合性がとれず、プレゼンの度に手直しをして、プレゼン用と設計用の資料を分けて用意しなければなりません。ストレスなく進められ、大幅な効率化が図れたことはよかったですね。

プレゼン用資料にもなる平面図

プレゼン用資料にもなる平面図

塩井:Vectorworksは、表現力も圧倒的に優れていると思います。例えば、床に採用した木質調のタイル。建物もある意味、幾何学的な形状をしているので、藤田さんが「じゃあ、タイルの配列も幾何学的に仕上げよう」と提案したんです。Vectorworksなら、タイルを取り込んでテクスチャを図面に貼るだけで、試してみたいことをすぐに表現できます。スピーディーにデザインを進められるため、時間を最大限に活用できるのは嬉しいことです。

藤田:「ここをもう少し修正して」とお願いすると、一瞬で仕上げてくれます。リアクションが早くてありがたいですね。

地下と1階平面図

地下と1階平面図

机上で実作業を検討できるのも大きなメリット

高宮:テラス感を大事にしたかったので、植栽にもかなりこだわりましたが、この計画にもVectorworksを大いに活用しました。テラス感を出すには、施設に自然をどう織り込むのかが重要なポイントになります。とはいえ、限られたスペースのため、大量に緑地帯をつくれるわけではないので、最少で最大のインパクトをどうやったら与えられるのかを考えていきました。

さまざまな工夫を凝らしましたが、そのひとつに“緑量感”を味わえる演出があります。人は両サイドから囲まれたグリーンの中を抜けたときに、体感的に緑量を味わえるものだと考え、あえてひん曲がった形の木を探してゲート状にし、人がこの中をくぐり抜けられるような計画にしました。その表現も図面上で行い、クライアントや施工者とイメージを共有していきました。一番苦労したのは、中庭に植えた3メートル程度の一本の大きなサルスベリです。あまりにも大きかったため、施設前の道路幅や施設の通路幅を考えると運び込みが難しかったのですが、Vectorworks上で細かく寸法を追いながら、「これなら通せる」という方法を探っていきました。机上で検討したことが実作業のプロセスにうまく生かすことができ、安心しましたね。このVectorworks上の検討がなければ、すぐに「無理!」となっていたでしょうから。

3メートルもある中庭のサルスベリ(撮影:アック東京)

3メートルもある中庭のサルスベリ(撮影:アック東京)

最高のメンバーと一緒に進めたい

安藤:大通りから一本奥まった敷地にも関わらず、日本初出店の3店舗を含む魅力的なテナントにこの場所を選んでいただきました。中には現地を内覧した際に入居を即決されたテナントもあると聞きました。直接的な評価ではないかもしれませんが、「ここなら、出店してもいい」と思っていただけたことには間違いないと思うので、とても喜ばしい結果でした。

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塩井:これまでさまざまな物件に携わらせていただいていますが、今回の計画ほど小さな単位のランドスケープには関わったことがありませんでした。ランドスケープデザインをしているというよりは、インテリアデザインを考えているような感覚でした。ランドスケープやインテリア、エクステリアの領域を超えた、新しいジャンルの可能性を見いだせた事例になったのではないかと感じています。

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藤田:一般的には人が歩く場所に覆いかぶさる樹形は避けるようにオーダーを受けることが多いので、今回のような樹木配置は独特だと思います。でも、だからこそ原宿らしさのある、この場所ならではの回答が出せたと、今は思っています。

高宮:僕は、カスケード原宿の内装監理室業務にも関わらせていただいたこともあり、今もテナントの皆さんとつながりがあるのですが、そもそも企画の段階から一緒に携わっているテナントの方もいらっしゃいます。全体設計者とテナントとの関わり合いが、これまでとは変化してきているのを感じます。形状は違うかもしれませんが、また同じメンバーで一緒に新しいものをつくりたい。そして、その動きが社会的に評価されるような意義深いものになるといいなと思いながら、日々邁進しています。

構成・文:瀬戸川彩(Playce) 撮影:小川拓洋

カスケード原宿

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