「デザインの力を強化するために」、丹青社が考えるデザイナー育成のプラットフォームづくりとその未来(2)

[PR]
「デザインの力を強化するために」、丹青社が考えるデザイナー育成のプラットフォームづくりとその未来(2)
デザイナーを取り巻く人的環境の再構築

新たに生み出されたデザインを、いままで培ったノウハウや専門力、そして新たな技術で具現化する制作職の教育・育成にも力を入れている。そしてデザイナーだけでなく、お客さまとの接点となる営業職の育成も重要な課題の一つだ。今後は、似たようなデザインを小手先だけを変えて展開するような手法は淘汰されると考えており、お客さまとデザイナーの間をつなぐ営業自身も意識改革や役割の再確認が必要だと語る。

戸髙:縦割でいつものメンバーのほうがやりやすいと考える営業もいます。継続してプロジェクトに参画させていただいているからこそ、チーム内の距離が近くなり、習熟した提案ができる強みも発揮できます。ただし、そこに甘んじて、同じデザイナーばかりとチームをつくることのマイナスもないとは言えません。例えば、お客さまがいままでと全く異なる表現をご希望された場合、適したリソースがすぐ近くで見つからないからと安易に外部デザイナーに頼ることになりかねません。せっかく豊富な社内リソースがあるのですから、そこを活かせる力もつけてもらいたいです。

德増:お客さまが望まれるのは丹青社の総合力。営業は深くお客さまの課題を把握し、共に解決に取り組むプロデューサー的存在でなくてはなりません。お客さまのために組んだベストチームで向かえば、評価もしていただけるでしょうし、リピートしてくださる可能性も高まります。大切に育てたデザイナーを高く評価していただくには、その価値を上手に伝える力が必須です。そう考えるとプロデューサーを増やしていく必要がありますね。

プロジェクトを円滑にマネジメントする潤滑油的な存在には、現場はもちろん人生経験が豊富な人が適している。プロデューサーというと大げさだが、人と人をつなぎ、人を思いやれる「コネクター」のほうが呼び名として適切かもしれない、と笑う。

戸髙:ここはシニア層に活躍してもらいたいですね。センター設立の準備に相当な時間がかかったのは、役職制度も変更したからです。マネージャーとしてのキャリア以外にも昇進できる形態に見直しを行いました。いままで、ある期間活躍したデザイナーは会社を出て独立することもありましたが、プレーヤーとして社内でも目標となるような待遇や報酬制度にしています。今後は、デザインなのかマネジメントなのか、デザイナー全員が自らの資質と年齢を考慮したキャリアプランを立てられます。

デザイナー一本で行くなら能力と専門性を高めてデザイナーのトップであるプリンシパルへ、マネジメント向きだと思うなら経営層と関わっていくマネージャーへという形です。複数のロールモデルを設定したことで、組織としては人材を手放すことなく、社員としては定年まで同じ会社でキャリアを積み上げられる仕組みができました。その中で、より多く世界で通用するデザイナーが育っていってほしいです。そして、そのデザイナーを支えるマネージャーやプロデューサーが活躍し、さらに技術力を磨いた制作職が空間をつくりあげる。当社のもつ総合力を活かして、より良い空間づくりに反映させていきたいですね。

プロジェクトの“中の人”に聞く

<株式会社丹青社 エグゼクティブ クリエイティブディレクター 洪恒夫さん>

エグゼクティブ クリエイティブディレクターの洪恒夫さんは、現在クリエイティブチームの最高位の立場にある。目下の課題は、社内を横断する形で丹青社ならではの強みを発揮し、いかに他社との差別化を図るかだ。文化施設や空間コミュニケーションの現場で得た知見を、ハイブリッド化、複雑化するマーケットに活かしたいとも語る。そんな洪さんが考える丹青社らしさ、魅力とはどのようなものなのだろうか。

株式会社丹青社 エグゼクティブ クリエイティブディレクター 洪恒夫さん

株式会社丹青社 エグゼクティブ クリエイティブディレクター 洪恒夫さん

「結束力があることが丹青社らしさですね。一つのプロジェクトに対するチームワークが堅く、共通の視点や眼差しで動けるのが強みです。こうしたことを基盤に、お客さまからのご要望に対しては、各自が培った知見に新たな発想や挑戦を加え、常に何か新しいものを提供していけたらと。またお客さまの求める物は何か、想像を超えた上で具体化し、提供できる物は何か。既成概念を壊しながらプロフェッショナルとしてのアイデアを提案できればと思います」

ちなみにデザイナーは、各個人で仕事の仕方や創作のスタイルが大きく異なる職業だ。洪さんの場合はどうかと尋ねたところ、インプットのための情報やワークツール的な物は持たないという。

「普段から、進行中のプロジェクトで自分が求めるもの、不足した要素を探ろうとする意識が頭の奥にあるんです。強いて言えば、このアンテナを張ってスタンバイする気構えがインプット作業になります。情報は入ってきた時点で使えるかどうかの取捨選択もしますが、全部無理をして行っているわけではありません。元々こういう行動が好きなんでしょう。街中のカッコいいデザインを見て、作者の葛藤や生みの苦しみ、想いを自分なりに探索することも好きです。だから仕事と日常の切り替えも意識したことはないんです。昔からものづくりが好きで、その好きなことが仕事になっていると思うと幸せです」

そう笑う洪さん。クリエイティブ職に携わる人間として、創作と日常の在り方はどう捉えているのか。

「アイデアが閃く瞬間はさまざまですし、時間をかければ生まれるというものでもありません。クリエイティブ作業を物量的に管理することは危険です。そういう状況を日常から意識し準備することで、短時間で解決できたと思わせるのが仕事でもあります。終始アンテナを張ることが楽しめる人は、この職業に向いているのではないかと思います。私たちデザイナーは常にオンリーワンのものづくりを要求されますが、時間を理由に中途半端なものを提供することはできません。こうしたプロフェッショナルとしてのクリエイティブ力とものづくりのプロセスやシステムの確立が、今後の課題だと思っています」

デザイナー育成のプラットフォームを形づくった経営マネジメントのトップ、そして現場でデザイナーたちをまとめていくクリエイティブのトップ。さまざまな立場からの言葉を聞いたが、全員がプロフェッショナルとしてのクリエイティブとものづくりの力の強化に一丸となって突き進んでいることが伝わってくる。しかし、その挑戦はまだ始まったばかりだ。今後の動きにぜひ注目したい。

丹青社本社の会議室からの風景

丹青社本社の会議室からの風景

聞き手:瀬尾陽(MonitoriPlovdiv) 取材・文:木村早苗 撮影:石原哲人

丹青社