「なんともいえないけどグッとくる」感で魅了する、イラストレーター・ニシワキタダシのユーモラスなお仕事

[PR]
「なんともいえないけどグッとくる」感で魅了する、イラストレーター・ニシワキタダシのユーモラスなお仕事
なんともいえないとぼけたキャラクターやモチーフを描く、関西在住のイラストレーター・ニシワキタダシさん。書籍や雑誌、LINEスタンプや、カルタやカレンダーなど、さまざまな媒体やグッズで展開され、そのゆるっとしたユーモアとタッチで人気を集めている。目下最新のお仕事のひとつである、アパレルブランド「merlot(メルロー)」とのコラボレーションの春夏アイテムは、「ダム」「ポン酢」「おてんば」などなど……なかなかファッションと結びつきそうにないモチーフが使われている。このちょっとユニークなコラボレーションアイテムはどこから着想を得たのか?そして、アナログ感のあるイラストはどのようにつくられているのか?イラストの雰囲気そのままの柔らかい口調のニシワキさんにお話をうかがった。

愛用の道具はシャーペンと鉛筆、PCを使っていてもアナログ感は残したい

――ニシワキさんのイラストといえば、柔らかいタッチが印象的ですが、どのような道具を使って描かれていますか?

ふだん描く時に使っているのはシンプルにシャーペンと鉛筆です。描いたものをパソコンで取り込んで着色しています。基本的には小さく描くことが多くて、シャーペンとかでラフを描いて、それをいったんクライアントに見ていただいて、OKだったらそこから進めるという感じです。たまに着色でコピックを使う時があります。基本的にはパソコンで色付けすることが多いですね。

ニシワキタダシさん

ニシワキタダシさん


――使っている道具になにかこだわりは?

ペン入れに使っているシャーペンの芯はちょっと濃いめを使っていて、太さも0.7mmでちょっと太めにしています。この0.7mmがけっこういい感じの線が出るので愛用しています。鉛筆は6Bを使っていて、芯の柔らかさもあって鉛筆らしい書き味が出るので気に入っています。仕上げはパソコンで行なうことがほとんどですが、パソコンで処理しても、鉛筆のアナログ感はけっこう残りますね。昔はいわゆるミリペンを使っていたんですけど、フリーランスになってからはずっとシャーペンと鉛筆で描いていますね。

コピー用紙でアイデアからラフスケッチに展開していく

コピー用紙でアイデアからラフスケッチに展開していく

独立して13~14年目くらいなんですけど、基本的には頭身が低めのキャラクターを描き続けていて、イラストレーターとして年数を重ねても、作風やタッチが大きく変わるっていうことはなかったですね。

――アイデアを描くノートは2種類ありますけど、なにか描き分けをしたりするんですか?

このノートはかわいかったので買ってみたら、コピックの色味の出方が良かったのでしばらく使ってたんですけど、廃番になってしまいました(苦笑)。それで違うノートや紙を使っているんですけど、ふだんは緊張せずに描けるのでほとんどコピー用紙を使っています(笑)。コピー用紙だとノートと違って並べて比較とかしやすいので、メモするときにも使っていて、それを案件ごとにクリアファイルでまとめています。

コピックのインクの乗りが気にっているノートは残念ながら廃番

コピックのインクの乗りが気にっているノートは残念ながら廃番

ニシワキさんのお仕事道具の一部。テープが貼ってあるコピックは、インクの残量が少なくなっている目印

ニシワキさんのお仕事道具の一部。テープが貼ってあるコピックは、インクの残量が少なくなっている目印

――さまざまな企業とコラボレートされていますが、製品としてカタチになる際にどのようなことに気を使われていますか?

雑誌のイラストカットなどと違い、製品になる場合はイラストそのものが全面に出ることが多いんですけど、できるだけデザインしやすくするというか、ある意味イラストが邪魔にならないぐらいがちょうどいいかなと思っています。プリントTシャツとかは別ですけど、例えばワンピースやポーチなどの柄として使う時には、まずはアイテムのデザイン優先で考えています。

――逆に雑誌などの紙媒体に載る時のイラストは、どういうことを意識しているんですか?

できるだけ最終的にどういうデザインになるのか理解しておきたいと思っています。広告や雑誌とかだと、基本的にはデザイナーさんが組んだものがあるなかで、イラストだけを提供するということも多いです。スケジュール的に、そのエディトリアルデザインが見られない時もありますけど、そこに合うように色味の部分も含め、関わりたいという気持ちがありますね。

――ニシワキさんのイラストは色数が少ないのも特徴ですよね。

色数が増えるとどうしても情報量が多くなりがちなので、色数を絞ったほうが製品や誌面のデザインとの相性が良かったりします。自分は額に入れて「ドン!」みたいな絵を描くタイプではないですし、自分ひとりのイラストだけでは完成しないお仕事がほとんどなので、「デザインされる」ことへの意識は常にあるのかもしれないですね。

あと、線画になにか1色を入れただけのほうがかわいく見えたりするので、色数を少なくしているのは単純にそういう理由があるのかもしれないですね。特に黄色が好きでよく使っています。自分でも名刺入れとかの小物で黄色をちょこちょこ採り入れています(笑)。


――ラフ段階ではどのようにアイデアをつくっていくんですか?

ふだんのお仕事は制約というか、描くものが決まっていることが多いので、そのテーマを自分なりに咀嚼してからイラストに起こすのが通常です。製品とかグッズとかの場合だと、テーマがあったりなかったりするので、特に自由度の高い場合はイラストに落とし込む前に、いかに自分の持ち味が出せるかを何回も考える感じですね。

ちょっと端っこにいそうなものを取り上げて、自分なりにカタチにする

――この4月にアパレルブランド「merlot(メルロー)」とのコラボレーションアイテムが発売されますが、このプロジェクトはどのように進めていきましたか?

merlot×ニシワキタダシ コラボ商品各種 個性的な総柄アイテム、イラストの魅力をそのまま生かしたプリントアイテム、可愛らしい刺繍アイテム…などさまざまに展開

merlot×ニシワキタダシ コラボ商品各種
個性的な総柄アイテム、イラストの魅力をそのまま生かしたプリントアイテム、可愛らしい刺繍アイテム…などさまざまに展開

「merlot」の2018年SSシーズンテーマ「ノスタルジア」で制作を依頼していただきました。同様のテーマで「アトリエサーカス」(「merlot」が運営するイラスト・デザインのコンペサイト)で、ノスタルジックなオランダをテーマにした柄・イラスト・モチーフの公募も行われていて、「そこに参加されているユーザーにとっての見本になるような作品を」とお願いされたんですがパッとすぐには思いつかなくて……。

「merlot」が主催するコンペサイト「アトリエサーカス」。同サイトでは定期的に複数のコンペを行い、作品を募集し入賞した作品はmerlotで商品化・販売される。画像は実際にコンペ「ノスタルジア」にて採用された4作品 <a href="https://www.ateliercircus.com/" rel="noopener" target="_blank">https://www.ateliercircus.com/</a>

「merlot」が主催するコンペサイト「アトリエサーカス」。同サイトでは定期的に複数のコンペを行い、作品を募集し入賞した作品はmerlotで商品化・販売される。画像は実際にコンペ「ノスタルジア」にて採用された4作品

風車とかチューリップとか、オランダならではのものはたくさんありますが、それは自分が描く意味があまりないなっていうところと、自分にとっての描きやすさというか、描きたくなるようなモチーフがいいなと考えてました。その中でちょっと“すきま”というか、モチーフにしたらおもしろいものがないかなと調べてたら、日本が鎖国していた時代にオランダと交流があり、その時にオランダ語も多く入ってきて、日本語だと思っていた言葉にもオランダ語由来のものも多く、モチーフとしても魅力的な言葉がいくつもあったんです。由来には諸説あるんですけど、自分が描きやすいものもいろいろ選べるし、鎖国=昔=ノスタルジーでもあるし、ほかにはなかなかないモチーフの選び方で、なによりテーマに沿いながら自分らしいデザインもできそうなところがいいなと思いました。

オランダ語のontembaar(馴らすことのできない、負けん気の)が語源とされる「おてんば」と、オランダ発祥という説も有力な「ゴルフ」、それれぞれの単語をイラスト化。「“なんともいえない”語感が気に入りました」(ニシワキさん談)

オランダ語のontembaar(馴らすことのできない、負けん気の)が語源とされる「おてんば」と、オランダ発祥という説も有力な「ゴルフ」、それれぞれの単語をイラスト化。「“なんともいえない”語感が気に入りました」(ニシワキさん談)

もともと自分がおもしろいと思うものを絵にすることが多いんですけど、あんまり狙い過ぎると自分で飽きてしまったりするところもあります。ちょっと端っこにいそうなものを取り上げて、自分なりにカタチにするっていうのがけっこう好きですね。

例えば、スポイトとかもオランダ語からの誤用らしいんですけど、それを絵にした時にスポイトがかわいく見えるかとか、興味を持たれるかと考えた時にちょっと違うかなって。モチーフとして、言葉の響きも含んでかもしれないですけど、「ポン酢」「おてんば」とかの“なんともいえない感”のほうが好きで。今回のオランダ語由来のモチーフには、その“なんともいえない感”があるものが多かったので楽しく選びました。

――「かわいい」という感覚も大事だったりしますか?

そうですね。「かわいい」ってすごい幅広い言葉で、けっこういろんなものに使えるんですけど、リボンとか付けた猫とか、うさぎのキャラクターとかに、自分は「かわいい」という言葉は使っていなくて、どこかしら「グッとくる」というか、なんとも言えない間の抜けた雰囲気とかに「かわいい」を便利な言葉として使っていますね。

「ダム柄ノースリーブワンピース」。 たくさん並んだダムから、時折ワニが顔を出す様子がユニーク

「ダム柄ノースリーブワンピース」。 たくさん並んだダムから、時折ワニが顔を出す様子がユニーク

――今回のアイテムの完成品を見た感想はいかがですか?

色味も含めて、好みのものが仕上がり嬉しかったです。トートバックなども、ふだんあまり見ないようなカラーを何種類かつくってもらったりして贅沢でした。依頼をいただいた時に、メルローを届けたい層が自分が参加しているそれを読むに来てくれそうなお客さんのイメージだと聞いたので、でき上がりのイメージもそういう人たちが楽しんで着てくれたらという意識はしていましたね。

打ち合わせと試作を重ねて製品化された

打ち合わせと試作を重ねて製品化された

今回は6アイテム(ワンピース2型・ブラウス・Tシャツ・キャップ・トートバッグ)つくっていただいて、カラーも多めに展開してもらえるので、お客さんがどういう反応をしてくれるのか楽しみです。その中でもいままでつくったことがない総柄のシャツは、遠めで見たらドット柄で、よく見たらバッグやランドセルのイラストというのもなかなかないので気に入ってます。実際に街中で着てくれてる人を見かけた時に、初めてこの仕事が完結するというか、「あーこうやって着てくれるんだ!」というのを思いそうだなと、サンプルを見せてもらった時に感じました。

出会うってなかなかないですけどね(笑)。自分が参加しているそれを読むに来てくれるお客さんが、Tシャツを着ていてくれることがあって、それもとてもうれしくて、そういう機会じゃない時に身につけてくれているのを見つけたら、それはまたとてもうれしいでしょうね。

――ちなみにSNSでの見せ方とかは意識されているんですか?

おもにイラストのお仕事の告知用のアカウントとして使っていますが、同じような絵が続かないようにとか、更新頻度とかはある程度は意識しています。あと、Instagramの正方形は意識しているかも知れませんね。

――今後はどういうお仕事に取り組んでいきたいですか?

イラストでお仕事をしていると比較的受け身というか、依頼をいただいてやっと仕事がはじまるので、いろいろ幅広くさせてもらっている現状をうれしく思っていて、逆に幅広くお仕事をさせてもらっているおかげもあり、いろんなお仕事がいただけるのかなとも思っています。

去年初めて絵本を2冊同時期に出させてもらったんですけど、また絵本はやってみたいなと思っています。いま、3歳の子どもがいるんですけど、絵本をよんであげたりしていると、あらためて小さい子が見てくれるものを仕事でつくることができるのは理想的だなあと感じます。昨年春から、毎日小学生新聞でも描かせていただいていて、小さい子も見てくれているという意識は増えていますね。とはいえ、シュールなものなど、自分が好きで描くものは大人の人に楽しんでもらえるものが多いので、いろんな世代の人の目にふれるものが描ければうれしいですね。そして、いつでも楽しんで描いていたいなと思います。

取材・文:瀬尾陽(MonitoriPlovdiv) 撮影:衣笠名津美

「ニシワキタダシ×メルロー」特設ページ

アトリエサーカス
デザイン・イラストの投稿や閲覧が楽しめるデザインコンペ型SNSサイト。アパレルブランド発のテキスタイルコンペでは投稿作品にユーザーが投票を行い優秀作品が実際に商品化される。

ニシワキタダシ