デザインのチカラ

「デザインのチカラ」がつくる新しい価値、そのアイデアの源と思考プロセスを探る

世の中にないものを生み出す。セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの挑戦ー阪根信一×清水啓太郎(2)

世の中にないものを生み出す。セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの挑戦ー阪根信一×清水啓太郎(2)
家電でも家具でもない、新しい概念を

――そこからランドロイドのブランドコンセプトや、プロダクトデザインが徐々に構築されていったわけですね。

阪根:はい。ランドロイドはもちろん、2014年の3月に発売したカーボン・ゴルフシャフト、2014年の7月に発売した快眠をサポートするナステント、これらのデザインも、会社のロゴデザインも、当社が外部に発信しているものはすべてライゾマティクスさんに世界観をつくっていただいています。

清水:ブランド立ち上げ時に、全ての事業を貫いていたキーワードは、ワークショップで導き出した“宇宙品質”でした。航空宇宙開発で培った製法を採用したゴルフシャフトは、カーボンの黒い世界観を表現しました。一般医療機器のナステントは、無菌室で生まれた清潔感のある香水のような佇まいで、持ち歩きアイテムとしても軽やかで違和感のないイメージにしています。

アートディレクターの長田桂太さんにデザインしていただいた、セブン・ドリーマーズのコーポレートロゴは、全てを包括できる普遍的なものに、という意味で円形になっています。このロゴは、太陽・月・地球が一直線になることで、宇宙として奇跡的にエネルギーがみなぎる瞬間である、金環日食をモチーフにしています。ちょうど社名のセブン(7時)の位置がキランと光っているのは、生物が活動を始める午前7時をはじまりの時間とし、これからのセブン・ドリーマーズの輝かしい未来への希望も込められています。

セブン・ドリーマーズのロゴと清水啓太郎

――とてもいいストーリーですね!ランドロイドは、最先端の技術でありながら生活に寄り添う製品だと思いますが、プロダクトデザイン面ではどのように形にしていったのでしょうか。

清水:まず、「全自動衣類折りたたみ機」というと家電をイメージしますが、家電の延長で考えてしまうともったいないなと思ったんです。僕はライゾマティクスに入る前に10年間パナソニックでデザイナーをしていましたが、だからこそ家電メーカーではできないことをやりたかった。そこで、家電でも家具でもない新しい概念として打ち出そうと考えました。

阪根:加えて、これまでの開発投資が莫大なのと、初期は生産台数に限りがあり、価格がどうしても高くなりますので、富裕層の方をおもなターゲットに考えています。しかもマーケットリサーチをしていくと、どんな豪邸でもサニタリールームって意外に小さいんです。となると、ランドロイドは結構大きいですから洗濯スペースに置く確率は極めて少なく、その代わり給排水の必要もないのでリビングや客間、廊下やベッドルームなど、どこにでも置くことができます。そういったこともひっくるめて、やはり単なる家電ではないと。

ランドロイドのリビング設置イメージ

「最先端=デジタル」というイメージを壊したい

――ルックスについては当初からいまのようなデザインでしたか?

ランドロイドルックス

清水:インテリジェント・クローゼットのような世界をつくりたいと当初から話していたので、それに見合うシンプルで洗練されたデザインの、いままでに見たことのない「美しい箱」をつくりたいと考えました。そのためパーツごとの素材にもこだわって、フロントパネルには高透過の強化ガラスを、サイドパネルには天然木、人の手が触れるサークル・インターフェースとインサート・ボックスのハンドル部分には、本革を採用しています。インターフェースの位置や高さなども随分検証しました。

ランドロイドのサイトと清水啓太郎

阪根:当初私は、iPadを埋め込むような形で操作することになるのかなと考えていたので、その辺りもいい意味で最初のイメージと変わりましたね。

清水:そうですね。もともとiPadを埋め込んでタッチパネルで操作するという、いわゆる洗濯機と同じようなインターフェースでの案も出ていたのですが、最先端のものだからといって難しくはしたくなくて、超簡単にしたかったんです。衣類を入れたら、それこそあとは押して回すだけのような。そうなった時に、状態の確認や衣類の閲覧といった細かな設定はスマートフォンのアプリケーションでカバーして、本体は最低限の操作を可能にしましょうということで、あえてフィジカルな触感のあるダイヤル式を提案しました。セブン・ドリーマーズの丸いロゴをもとにインターフェースも考えていて、3時の位置がデフォルトにしています。7時の位置に回すと折りたたみがスタート、12時の位置に回すと扉が開き、3時の位置に戻すと終了。3つの位置に合わせて回すだけです。

ランドロイドのダイヤル式の画像

「最先端=デジタル」というイメージをあえて壊したいというのがあったので、操作も見た目も含めてアナログな質感を出したところが、あえてこだわった部分です。年配の方でも簡単に操作していただけます。

――現状ではお客様からどんな反応がありますか?

阪根:初めて完成系の外観を発表したのが2017年の5月末ですが、多くの方から「かっこいい」という感想をいただきました。ヨーロッパやアメリカでも出展しましたが、特に女性に好評で、海外の女性は「だからジャパニーズはクールなのよ!」と言ってくれています(笑)。

正式な出荷は1年先ですが、共働きで忙しいというお客様などからもすでに予約をいただいています。シリコンバレーやニューヨーク辺りでも評判がいいですし、サウジアラビアなどからも問い合わせいただいています。

阪根信一と清水啓太郎のインタビュー画像

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