ひとつの生態系をつくるように、ジュエリーを生み出す「bubun」。身につけるまでインタビュー(2)

ひとつの生態系をつくるように、ジュエリーを生み出す「bubun」。身につけるまでインタビュー(2)

ミクロとマクロによってイメージが変わるジュエリー

めぐみ:いま全部で4種類のシリーズがあり、その中でも最初に展開していったのが「solo」シリーズです。ブレスレット、ネックレス、チョーカー、ピアスで展開していて、すべて私が学生の頃からつけていたピアスから派生したものです。

信行:よく魚の群れに例えるんですが、一匹の魚を見て、目が美しい、鱗が美しいとズームインしていくといろんな美しさが見え、反対にズームアウトしていくと群れがひとつの生き物みたいに見える。それもかりそめの形で散ってはまた集まってを繰り返す、そういうイメージでジュエリーをつくっています。

さきほどの雑木林の話とも少し通じるのですが、ひとつの素材やデザインを強く打ち出していくのではなく、生態系をつくるみたいに、単一の種類だけではなく、複雑な“系”をつくっていきたいと思っています。絶滅危惧種は見た目が可愛いものばかりが保護され、可愛くないものは保護されずに結局片寄ってしまうと聞いたことがあるんですが、人気がないとしても大事に育てていくような、多様性を尊重するブランドになれればなと。

solo - SLIT - bracelet/電気炉で焼成し、水の揺らぎのような質感をつくっています

solo – SLIT – bracelet/電気炉で焼成し、水の揺らぎのような質感をつくっています

めぐみ:「SLIT bracelet」は、置いてあると硬いオブジェのようなんですが、ガラスの棒が糸ですだれのように編まれているため、触れるとしなやかに動き、身につけると身体のラインに沿ってぴったりフィットするんです。もともとは私が紙に切り込みを入れたようなものをつくりたいと考えたブレスレットです。

信行:はじめは棒状のガラスに穴を開け、糸を通す構造にしてみたんですが、動きがぎこちなくなってしまって…。最終的には井戸蓋のようにカラカラって自由に動く構造に落ち着きました。板ガラスを1本1本切り出して形を整え、1つ1つに溝をつくる。その溝に糸を掛けて編み上げています。

糸で編むことでパーツとパーツの間に糸のクッションができ、滑らかに動く。穴に通すとガラス同士がくっついてしまうので、ガチャガチャ音がしてしまうという

糸で編むことでパーツとパーツの間に糸のクッションができ、滑らかに動く。穴に通すとガラス同士がくっついてしまうので、ガチャガチャ音がしてしまうという

信行:基本的にしっかりとしたドローイングや設計図は描きませんが、2人で話しながらつくるので言葉だけで伝わらないものはその場の描き捨てのような形で描いています。でもいくら紙の上で描いても素材を触った瞬間にどんどんイメージが壊れていくので、早い段階で素材に入って指先で考えることが多いです。

めぐみ:ほかのシリーズも、こんな風につくりたいと思った形のままにできることはほとんどなく、1回ガッカリしてからがスタートみたいな感じですね。

form - MOTION 'INFLATION' - earrings/連続する動きをストップモーションでコマ撮りしたときのひとつひとつみたいな形で、流動する中の1コマみたいな、時間を切り取ったようなデザイン

form – MOTION ‘INFLATION’ – earrings/ストップモーションで連続する動きをコマ撮りしたときの、流動する中の1コマを切り取ったピアス。時間を切り取ったようなデザインです

“編む”行為で現代的な革のジュエリーを

めぐみ:人の肌と同じように、ヌメ革の色もベージュならベージュでさまざまな色があるんです。染料などの色材は使っていないのですが、ヌメ革は熱や光で焼けて色が変化するので、少しだけ熱を加えたりして味わいをつけていますね。

信行:革製品のさまざまなつくり方の中に、“平面的に形を抜く”ということと“編む”という2つの手法があります。その2つをどうにか結び付けられないかなと思ってつくったのが「net」というブレスレットです。

net

net

net/編んでいるところ

net/編んでいるところ

めぐみ:カゴとか編んでつくられた民芸品が好きなので、もっと“編む”という行為を使って現代的なものがつくれないかな?と考えていました。以前、バヌアツ共和国という、83の島々が集まる国に3週間くらい、カゴを編む旅に一人で行ったことがあるんです。子どもの教育費や生活費に充てるために女性たちがカゴを編むんですが、編み方のパターンや素材の太さが島によってちがうんです。その島独特のリズムもあり、部族の歌を歌いながらリズミカルに編んでいるのが印象的でした。

信行:歌いながらつくっているということを聞き、編むことと音楽はつながっているのかなと思いました。だとしたら現代の音楽もあるし、現代的な編み方っていうのもあるんじゃないかなと考えていきました。

息抜きは、日曜大工とスープづくり

信行:つくること全般が好きで、1から10まで全部自分でやりたいタイプです。ここ数年は日曜大工が趣味ですかね。机や棚、スピーカーとかも全部自分でつくりました。木材は図面を渡してカットしてもらい、細かいところは自分で少し修正したり。自分としては家具などをつくるのが息抜きになっていますね。あんまり出来はよくなかったですけど、空気清浄機もつくったことがあります(笑)。

信行さんがつくったというスピーカー

信行さんがつくったというスピーカー

工房にいた怪獣たち

工房にいた怪獣たち

めぐみ:図面から引くのか…。その時間をほかに充てたらいいのにってたまに思うんですけど(苦笑)。私は趣味のジュエリーを細々とつくっていたくらいで、これってものはないんですが、スープをつくるのだけはすごく好きなんです。料理は苦手ですが、スープはコツコツ時間をかけてあんまり焦らずにできるので。「今回は何を使って甘みを出すか、玉ねぎなのかにんじんなのか…」みたいに考えるのは楽しいですね(笑)。

“身につけるもの”について

めぐみ:やっぱり私は15年着け続けているこれ(soloシリーズのピアス)だけですね。最近はいろいろつくるようになったので、他にも着けるんですけど。

信行:このブランドを立ち上げる少し前に、革で何か一緒にものをつくってみようという話になり、1番はじめの共同作業として、お互いひとつずつリュックをつくったんです。お互いに意見を取り入れながら、一針一針手縫いでつくっていきました。

めぐみ:テーブルに収まらないほどの革を広げないといけないので大変でしたが、リュックを完成させたことで一緒にものをつくっていけるなと感じましたね。

ブランドをはじめる際に、2人がひとつずつつくったリュック

ブランドをはじめる際に、2人がひとつずつつくったリュック

お互いの個性を持ち寄り、ジュエリーというかたちでアウトプットしているお二人。ビルの屋上にある工房でひそやかに、だけどキリっとした強さを持つジュエリーをつくっています。「bubun」がいろいろな人の一部分になればいい、そんなことを考えさせてくれるブランドです。

bubun

構成・文:石田織座(MonitoriPlovdiv編集部) 撮影:寺島由里佳

https://steroid.in.ua

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