【さいきん、なに買った?】関谷武裕さんの、絵本の本当の良さに気づいた一冊

【さいきん、なに買った?】関谷武裕さんの、絵本の本当の良さに気づいた一冊

こんなにモノが溢れる時代に、それでも私たちが「モノを買う」のはなぜだろう?

物欲…?はたまた必要に駆られて…?「買う」という行為から、その人らしさや考え方が見えてくるような気がします。本企画はいわゆる「私の定番アイテム」紹介ではありません。さまざまな職種の方に「さいきん、買ったもの」をうかがい、改めて「買う」ことについて考える…そんな大げさな話ではなく、審美眼のある方々に「買う」にまつわるお話をうかがう、ちょっと軽めの読み物です。

“Webサイト上にある辺境の観光地”こと、Web漫画サイト『トーチ』の編集長の関谷武裕さん。新たな才能や、埋もれていた才能を発掘してきた関谷さんが、さいきん買ってよかったものを紹介してくれました!

絵本『よるのおと』

小さい子どもがいるので絵本をよく買うようになって、その中でも個人的に特に感動したのはこの本です。出版されたのは2017年ですが、さいきん、松陰神社前駅の近くにある絵本のお店『ぱっきゃまらーど』で存在を知りました。たむらしげるさんはもちろん知ってましたが、いまも絵本を出してるのは知りませんでした。

この本のコンセプトはすごくシンプルで、松尾芭蕉の『古池や蛙飛びこむ水の音』を絵本にしたという一冊です。本筋はカエルが池に飛び込むシーンだけど、どういう経緯で飛び込んだかが創作されていています。夜の静けさがさまざまな視点から表現されていてすごく映像的なんです。これは初めて読んだとき、正直しびれましたね。

大人になってから絵本を鑑賞するようになって、子供の頃に絵本の本当の良さにはまったく気づけてなかったと思います。改めて「音読する」という行為自体に感動するというか、絵本って音読することを前提に描かれているんだなって。読んで聞かせるという、子どもと共有している時間は本当に楽しいし、目で読むだけでは感じられない発見がありますね。絵本を買うときは子どもが選んだ1冊と、僕が選んだ1冊を買うようにしています。子どもはだいたい電車の絵本ばっかりなんだけど(笑)。

『トーチ』では毎年、アーティストに年賀状のデザインを依頼しているんだけど、この本にすごく感動したから今年はたむらさんにお願いしました。描き下ろしてもらうのは難しかったから、『トーチ』のテイストに合いそうなイラストのデータをお借りしてつくりました。たぶん英語の教科書に使われてたやつらしいです。将来的には漫画だけでなく絵本もつくってみたいなぁ。

「買い物」について

さいきんはぜんぜん買い物しなくなりましたけど、家に置くオブジェにはたまにお金を使いますね。大阪の「Essential Store」っていうヴィンテージショップに行ったときは、ワケのわからないものを10万単位で買ったりとか(笑)。あとは妻が和服好きなこともあって、着物にもお金使ったかな。なんというか、物を買うこと自体にすごく慎重になっちゃってる。たとえば、メッセージが入ったTシャツとかは「そのメッセージの責任を数千円で俺は負うのか…?」って考えちゃいますね(笑)。なので、服は無地のものばっかりになりました。

どうしてもルーツとか意味が気になったりするんだよね。そこがわからないと、当たり前とされているものを当たり前と思えない感覚があるから、そういうことが買い物にもつながっているのかなと思います。

タイトル画像:岡村優太

関谷武裕

関谷武裕

1982年生まれ。静岡県出身。2006年10月よりリイド社勤務。2014年8月から「トーチweb」編集長。

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