#02 山を滑る人

#02 山を滑る人

こんにちは、鈴木優香と申します。山で見た景色をハンカチに仕立ててゆくプロジェクト「MOUNTAIN COLLECTOR」を手がけています。

山はまだまだ冬ですが、家の近くの桜がもう咲き始めていて、少し焦っています。というのも、この冬からスキーを始めたから。まだ春になってもらっては困るのです。

周りは「なんでまた急に?」と不思議な顔をしていますが、元々冬山も登っていたこともあり、スキーができたら行ける山の幅が広がるという気持ちから、自分の中では自然な流れでした。

ただスピードの出るスポーツには苦手意識があり、興味を持ちながらも自分には向いていないだろうと何シーズンか見送り、諦めていたところ。昨年、山スキーやスノーボードをしている人と知り合ったり、色々なことがタイミング良く繋がったので、今だと思い始めてみました。

春の立山。毎年4月に立山黒部アルペンルートが開通すると、雪の大谷を見学する外国人観光客に混じり、大勢のスキーヤー、スノーボーダーが春の雪を求めて列を成します。ふと1年前の立山の写真を見返していると、その人たちの写真をたくさん撮っていることに気付きました。普段山では人物をあまり撮らないのですが(むしろ人が居なくなるまで少し待つことも)、憧れの気持ちの現れだったのかもしれません。

山を滑れることはなんとなく知っていたのですが、滑っている人を初めて見たときの気持ちは忘れられません。素直に書いてしまうならば、「なにそれ、ずるい!」。

スキーを履いて登る人、担いで登る人、滑る人、雪面に描かれるライン…そんな写真が手元にたくさんあります。これはきっと羨望の眼差し。そのころから少しずつ、「いいな」の気持ちが溜まって溜まって、やっぱりスキーをしようと決めたのです。

シャッターを切るには必ず理由があって、美しいと感じたり、憧れたり、何かに突き動かされた記録。写すだけではなく、そのときの気持ちも添えてくれるのが写真なのですね。現像した直後には何も感じなくても、数年後に見返したとき、それが伏線となっていたことがわかるように。

登山を始めて1年ほどは、登ることに必死で写真を撮る余裕がありませんでした。スキーで巡る山々の景色を、じっくりと集められるのはいつになるでしょうか。

撮影:鈴木優香

鈴木優香(デザイナー)

1986年千葉県生まれ。2011年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。株式会社モンベルの商品企画部を経て、2015年に独立。その翌年から、山で見た景色をハンカチに仕立ててゆくプロジェクト「MOUNTAIN COLLECTOR」をスタート。現在は、山に登っては写真を撮り、制作をする日々を送っている。

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