#1 冬の足元

#1 冬の足元

こんにちは、鈴木優香と申します。山で見た景色をハンカチに仕立ててゆくプロジェクト、「MOUNTAIN COLLECTOR」を手がけています。2017年も残りわずか。雪山からはじまり、夏の縦走、沢登り、紅葉を愛でて歩き、そしてまた冬へ。今年もたくさんの山に登りました。

この連載では、私の集めてきた山の景色を、少しずつご紹介していきます。感情を揺さぶるような華やかさはないかもしれません。山の気配をすくい取るように切り取った、ささやかなものばかり。

今回のテーマは、「冬の足元」。山に雪が積もると見渡す限りの白い世界になります。雪の山に登ることは、雪のない山より少し緊張します。手足は痛いくらいに冷え、急な斜面では滑落の恐れもある。それでも冷たい空気をいっぱいに吸って、眩しいほどの白に目を細めながら歩く清々しさ。雪は吸音材となり、シーンとした静けさだけがある世界。そんな感覚が忘れられず、何度も足を運んでしまいます。

深い雪に足を取られないよう、隠れた岩につまずかないよう、次の一歩を見極めながら歩いていると、自然と目線は足元に。雪を纏った山々は美しく壮大。こんな景色ももちろん好きですが、目線を落としてみると、控えめながらも美しいものがたくさんあります。

つい撮ってしまう被写体のひとつは、雪に埋もれる岩や石。雪があることで色、形、大きさが際立ち、白い画面に描かれたものを見ているような感覚になります。側にある草や枝も交えつつバランスを見て、どこを切り取るかを考える時間がたまらなく好き。

そして、雪の上に落ちた木の葉や枝。細かく散らばった様も、きれいな形をした枝がぽつんと佇んでいる様も、魅力的です。足元の景色には、山の頂上を入れて撮影するときのようにお決まりの構図がありません。ファインダーを覗きながら絵を描いていくようなイメージで、自分好みの構図を探します。

たくさんの人が歩いた雪面は雲海を思わせ、春が訪れると、溶けはじめた雪面は小さな山脈に。雪そのものにもさまざまな表情があって、目が離せなくなります。

薄張りの氷。スケートリンクのように分厚く凍った池。透け感や重なり、微かに見える色彩。

コレクションはまだまだ尽きませんが、今回はここまで。「何もない」地面を熱心に撮る私を見て怪訝な顔をする人もいますが、そこに何かがあると感じるか、何もないと感じるかは人それぞれ。冬の足元。そこには美しいものがたくさんあると、私は思います。さて、今シーズンはどんな景色に出会えるでしょうか。みなさんにも、素敵な冬が訪れますように。

撮影:鈴木優香

鈴木優香(デザイナー)

1986年千葉県生まれ。2011年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。株式会社モンベルの商品企画部を経て、2015年に独立。その翌年から、山で見た景色をハンカチに仕立ててゆくプロジェクト「MOUNTAIN COLLECTOR」をスタート。現在は、山に登っては写真を撮り、制作をする日々を送っている。

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