33回目のミラノデザインウィーク 後編

33回目のミラノデザインウィーク 後編

前回からの続きである。7月9日、ミラノリナーテ空港の売店で「INTERNI」を購入した。ずっしりと重い今月号はフォーリサローネの特集号だ。

「INTERNI」 2018年フォーリサローネ特集号の表紙画像

深澤直人、佐藤オオキら日本人の活躍が掲載されているが、ページをめくると私が担当したグランドセイコー(GS)が1ページで紹介されていた。掲載写真は、当初からサポートいただいている写真家・大木大輔が渋谷で苦労して撮影した雨のシーン。シズル感が欲しく見事に応えてくれた。

グランドセイコー 2018年ミラノデザインウィークでの展示風景の画像

評判を呼んだ映像は大木大輔が二ヶ月にわたり関東周辺を撮影した画像に阿部伸吾がデジタル処理して、作品に仕上げてくれたものである。私が最も信頼する二人であり、今後もメンバーとして深く関わっていただきたい。

写真家・大木大輔

写真家・大木大輔

また、進行管理を的確にクリエイターに指示し、日夜調整を行った片腕金森裕貴子の存在も大きい。映像の尺はだいたい三分と決めている。フィエラ会場のほか、市内だけでも約1,500か所で繰り広げられるミラノデザインウィークでは、いかに会場に長く滞在していただくか、印象深い機会とするか作品の密度が問われる。こちらの都合で、忙しく見て回る来場者を止めることはできない。

2018年ミラノデザインウィークにて

安積朋子(左)、蓮池槇郎、菰田和世(右)の各氏

さて、評判の高かった今回の展示を東京でも見ていただく機会を探っている。正式にはセイコーウオッチ株式会社からリリースされる。ゴマするわけではないが、GSにはすっかり魅せられた。日常使いにもう1本購入したいと考えているほどだ。このブランドの魅力は、技術者達の高い志と徹頭徹尾妥協を許さないディテールへのこだわりの結晶と言えよう。一見控えめに見えるが、逆に存在感を際立てさせる精緻なデザインだ。そろそろ物欲から断捨離へと考えていた矢先ではあったが、「Made in Japan」を強く感じたイッピンである。日本のものづくりのDNAを再度確認して、もっと日本らしい強みを発揮するよう働きかけて行かなくてはならない。

ミラサロはこうした点でも自分たちを見直す最良の機会であり、ビタミン剤だ。そんなことを考えていた矢先に朗報が届いた。一般社団法人日本空間デザイン協会が主催する「DSA日本空間デザイン賞2018」で大賞に続く、金賞10作品の一つとして受賞。TAKTは二年連続で、これまで執筆してきたGS作品「Approach to TIME.」が受賞タイトル名である。(敬称略)

designディレクター桐山登士樹

桐山登士樹(デザインディレクター)

株式会社TRUNKディレクター、富山県総合デザインセンター所長、富山県美術館副館長。

30年に渡ってデザインの可能性を探り、さまざまな基盤や領域の活動を実践。特に1993年から今日まで「富山県総合デザインセンター」で地域のデザイン振興に携わり、商品化を前提とした「とやまデザインコンペティション」を企画・実施。地域の資産を生かした「幸のこわけ」の企画・商品化で成果を創出。

これまで、YCSデザインライブラリーや富山県総合デザインセンターなどのインフラ整備に参画。展覧会では「ニューヨーク近代美術館巡回 現代デザインに見る素材の変容(1996)」「イタリアデザインの巨匠/アキッレ・カスティリオーニ展(1988)」「日蘭交流 400周年記念 DROOG & DUTCH DESIGN展(2000)」「イタリアと日本 生活のデザイン展(2001)」「80歳現役デザイナー長大作展(2001)」他多数。ミラノデザインウィークでは2005年よりレクサス、キヤノン(エリータデザインアワード2011グランプリ受賞)、アイシン精機(Milano Design Award 2016 Best Engagement by IED受賞)、セイコーウオッチ「THE FLOW OF TIME」を総合プロデュース(2018)。メゾン・エ・オブシェでは、JETRO広報ブース「Japan Style」、伝産協会の海外販路プロデューサーを担う。「2015年ミラノ国際博覧会」日本館広報・行催事プロデューサー(金賞受賞)。共書「ニッポンのデザイナー100人」(朝日新聞社)。経済産業省「世界が驚く日本2016」研究会座長ほか。