第57回ミラノサローネ国際家具見本市

第57回ミラノサローネ国際家具見本市

連続33回目のミラノサローネだった。今年の率直な感想は、例年になく「人が多いなぁー」と実感したこと。4月18日と21日の2日間展示会場のあるフィエラに通ったが、両日とも凄い人で溢れていた。こうした背景には、イタリア家具工業会社(ミラノサローネ)の代表に就任して1年となる、クラウディオ・ルーティ氏(Kartell社長)のマネージメント力が挙げられる。

また、閉幕リリースでは、「産業と行政が協力し合い、文化と企業がイタリアを索引、唯一無二のそれを読むを生み出している」とコメントが出された。あわせて、長く混迷し低迷していたイタリア経済にもやっと復調の兆しが見える。

この会社に注目、イタリアのDECASTELLI

Missoniの新たなデザイン展開は注目

Missoniの新たなデザイン展開は注目

マーケット的には、これまでの先進国の大都市から発展著しい中国やアジア諸国のホテル、レストラン、さらには住宅にマーケットが移り、肥大化している。いわゆる新興勢力の富裕層頼みの構図が目につく。こうした潮流に合わせて、デザインは質の高い高級品でブランド品がビジネス的にもうまくいっているが、守るブラントではなく、攻めるブランドが支持されていることが展示会場にいると良くわかる。中でも不動の地位に居るのが、1912年に誕生したPoltrona FrauやKartellだ。こうした勝ち組の会社は総じてマーケテイングに力を入れている。マーケットの特性を深く読み取っているとも言える。例年、提案力が印象的だったMorosoは、ファションブランドDieselとのコラボがメインで少々もの足らなかった。

シックで高級感が漂う、Poltrona Frau

今回のサローネで目を引いたデザイナーは、これまでの常連のパトリシア・ウルキオラなどは除くと、椅子のデザインではジャスパーモリソンがデザインしたMajisの「Plato」、深澤直人がデザインした「MARUNI COLLECTION 2018」、素材の変容では吉岡徳仁が手掛けたKartellの「MATRIX」などが上げられる。

MARUNI COLLECTION 2018

MATRIX

加えて、大城健作、nendo、倉本仁など、次の世代が着実に追従しているもの頼もしい。この10年で日本人デザイナーは確実にイタリアの家具会社、さらには北欧の会社と共働するようになった。

倉本仁デザイン「Jin」は、スウェーデンのOFFECCT

来月号で総合プロデューサーとして参加した、SEIKOの「THE FLOW OF TIME」について記載します。その際にミラノデザインウイーク2018の総括も行いたいと考えていますので、お楽しみに!

designディレクター桐山登士樹

桐山登士樹(デザインディレクター)

株式会社TRUNKディレクター、富山県総合デザインセンター所長、富山県美術館副館長。

30年に渡ってデザインの可能性を探り、さまざまな基盤や領域の活動を実践。特に1993年から今日まで「富山県総合デザインセンター」で地域のデザイン振興に携わり、商品化を前提とした「とやまデザインコンペティション」の企画・実施。地域の資産を生かした「幸のこわけ」の企画・商品化で成果を創出。

これまで、YCSデザインライブラリーや富山県総合デザインセンターなどのインフラ整備に参画。展覧会では「ニューヨーク近代美術館巡回 現代デザインに見る素材の変容(1996)」「イタリアデザインの巨匠/アキッレ・カスティリオーニ展(1988)」「日蘭交流 400周年記念 DROOG & DUTCH DESIGN展(2000)」「イタリアと日本 生活のデザイン展(2001)」「80歳現役デザイナー長大作展(2001)」他多数。ミラノデザインウィークでは2005年よりレクサス、キヤノン(エリータデザインアワード2011グランプリ受賞)、アイシン精機(Milano Design Award 2016 Best Engagement by IED受賞)、セイコーウォッチ「THE FLOW OF TIME」を総合プロデュース(2018)。メゾン・エ・オブシェでは、JETRO広報ブース「Japan Style」、伝産協会の海外販路プロデューサーを担う。「2015年ミラノ国際博覧会」日本館広報・行催事プロデューサー(金賞受賞)。共書「ニッポンのデザイナー100人」(朝日新聞社)。経済産業省「世界が驚く日本2016」研究会座長ほか。