第3回:Paper Parade Print Kitの「紙活字®(Papertype®)」

第3回:Paper Parade Print Kitの「紙活字®(Papertype®)」

デザイン編集者が見つけた、素敵な紙ものを紹介するコーナー「技あり紙もの通信」も3回目となりました。今回は、紙でできた活字「」をご紹介いたします。

紙活字®を使って印刷した例(写真提供:Papertype)

紙活字®を使って印刷した例(写真提供:Papertype)

「紙活字®(Papertype®)」とは文字通り、紙でできた活字のこと。通常、活版印刷で使われる活字は金属製か木製ですが、個人で活字や機材を揃えるにはハードルが高く、専門の技術を持ったプロにお願いするのが一般的でした。「活字をもっと手軽に使えるようにできないか?」と考案されたのが、今回紹介する紙活字®です。

スイスでデザインとタイポグラフィを学んでいた和田由里子さんが、2009年に紙で活字をつくることを着想。以後、素材や形状の改良を重ね、2015年に紙活字®として発表しました。紙活字®を自宅で印刷できるキット「Paper Parade Print Kit」も開発し、2016年からは作品制作やワークショップを開催しているそうです。

Paper Parade Print Kit。木製の印刷機、インキ、ヘラ、ローラー、インキ台、活字がセットになった印刷キット

Paper Parade Print Kit。木製の印刷機、インキ、ヘラ、ローラー、インキ台、活字がセットになった印刷キット

改良を重ね、1000回の印刷にも耐えられる印刷キットに

活字本体は、厚紙を貼り合わせてから、レーザーカッターで文字の形に切り抜いたもの。これを1文字ずつ並べて版をつくり、キットに付属しているインキをローラーで塗り、印刷機に乗せてプレスすると印刷物ができ上がります。

活字の形状にカットしたところ

活字の形状にカットしたところ

活字自体が紙でできているので、表面を削ったりキズをつけたりしてオリジナルのテクスチャーをつくることも可能。アルファベットの大文字・小文字・数字があるので、「Thank You」などのメッセージも組めます。文字を模様のようにランダムに並べて作品を制作したり、印刷した紙でペーパーアイテムをつくったりと、使い方はさまざま。

表面を削ると独特の味が出せます

表面を削ると独特の味が出せます

既製のカードやスケッチブックにスタンプのように押すことも

既製のカードやスケッチブックにスタンプのように押すことも

和田さんが制作したカードケース

和田さんが制作したカードケース

和田さん自身が書体デザイナーなので、文字の形にはかなりこだわったそう。理想的な文字のデザインができても、実際にレーザーカッターで切ってみるとデータ通りの曲線にならないなど、何度も試行錯誤を重ねたとのことです。

また、活字で使われている厚紙も最初は40回くらい刷ると潰れてしまっていたそうですが、1000回くらいの印刷に耐えられるように品質改良されたそうです。私が2011年に見せていただいた時から、文字の精度も素材の耐久性もかなり進化している印象を受けました。

今までにない新しいプロダクトなので、紙やインキ、木製の印刷機もすべてオリジナルで制作。で先行販売をしたのち、は、5月下旬を予定しているそうです。

makuake(4月末まで先行販売を行う、クラウドファンディングサイト)

Paper Parade Print Kit 発売サイト(5月下旬以降)

宮後優子(グラフィック社)

宮後優子(編集者/Book&Designディレクター)

宮後優子(みやご・ゆうこ)
編集者/Book&Designディレクター。東京藝術大学で美学美術史を学んだ後、出版社の編集者に。デザイン専門誌『デザインの現場』編集長を経て、文字デザイン専門誌『Typography』を創刊。デザイン書編集者として20年近く活動。デザイン関係の雑誌・書籍・ウェブサイトの編集のほか、それを読むやワークショップなどの企画・運営を行う。