第17回:竹でできた紙のプロジェクト「MEETS TAKEGAMI」

第17回:竹でできた紙のプロジェクト「MEETS TAKEGAMI」

竹から紙ができるのをご存知ですか?使われなくなった竹の有効活用法として、製紙会社の中越パルプ工業は日本の竹を原料にした紙「竹紙」を製造しています。竹パルプ100%の「竹紙100ナチュラル」と「竹紙100ホワイト」の2色があり、印刷用途としても使うことができます。

通常の紙は木材を原料としたパルプからつくられているのに、なぜわざわざ竹から紙をつくるのでしょうか? 

竹は成長が早く、森林環境保全のために定期的に伐採しなければならないのですが、伐採した竹をどう活用したらよいのかが地域の課題となっていました。そこで、中越パルプ工業は、本来製紙原料に不向きな竹を使い、自社の製紙工場で紙をつくることによって、環境保全と地域産業に貢献できないかと考えたのです。

伐採された竹が並んでいる画像

「伐採した大量の竹の処分に困っている」という地元住民からの声を受け、中越パルプ工業 川内工場(鹿児島)では竹を原料とした紙を製造。切削してチップ状にした竹からパルプをつくり、抄紙機で紙をつくる。写真提供:MEETS TAKEGAMI(以下すべて)

切削してチップ状になった竹の画像

竹のパルプから抄紙機で紙をつくられている画像

竹紙は社会貢献度の高い魅力的な素材なのですが、その存在が世間にあまり知られていません。もっと知ってもらうにはどうしたらよいか、数年前からデザインチームのminnaが加わり、「MEETS TAKEGAMI」のプロジェクトがスタート。竹紙を使った文具や雑貨をデザインし、商品として販売することで、人々の目にふれる機会をふやしていこうと考えました。

MEMO TOWER(MEETS TAKEGAMI)

MEMO TOWER(MEETS TAKEGAMI)

B5 NOTE BOOK(MEETS TAKEGAMI)

B5 NOTE BOOK(MEETS TAKEGAMI)

ORIGAMI(MEETS TAKEGAMI)

ORIGAMI(MEETS TAKEGAMI)

ORIGAMI(MEETS TAKEGAMI)タケノコやパンダなどを折るための専用グラフィックで彩られています

タケノコやパンダなどを折るための専用グラフィックで彩られている

3年前、多くのバイヤーが来場する展示会「インテリア ライフスタイル」に初参加し、竹紙を使った文具を発表。以降、毎年出展し、新商品を発表しています。活動の転機となったのは、三越で開催された七夕それを読むで使われたこと。七夕の笹につり下げる短冊に竹紙が採用されました。ほかの紙ではなく、なぜ竹紙を使うのか、その理由を考えると七夕は最強のそれを読むですよね。竹紙の短冊は好評で、現在も七夕のそれを読むで使われているそうです。

TANZAKU(MEETS TAKEGAMI)

TANZAKU(MEETS TAKEGAMI)

一般的な印刷用紙は、表面が平滑で、くっきりと印刷できるのですが、竹を原料としている竹紙は、表面にわずかな凹凸があり、やさしい印象の印刷になります。一般紙が均一な規格品だとすれば、竹紙は個性が目立つ紙といっていいかもしれません。そのような特徴を理解したうえでどのようにプレゼンテーションすれば、その魅力が伝わるのか、社会的な意義を理解してもらえるのか、考えることが重要です。

強い個性のある紙をどう売っていくのか、デザイナーができることはまだまだあるような気がします。また、いろいろなアイデアを広く集めるのもおもしろそうです(名前に「竹」がつく人や会社の名刺を竹紙でつくるとか?「竹紙ラボ」のWebサイトから名刺の発注もできるそうです)。竹紙は伸びしろのあるおもしろい素材で、可能性を感じました。

MEETS TAKEGAMI

竹紙ラボ

竹紙(種類、斤量などの情報)

中越パルプ工業

minna

宮後優子(グラフィック社)

宮後優子(編集者/Book&Designディレクター)

宮後優子(みやご・ゆうこ)
編集者/Book&Designディレクター。東京藝術大学で美学美術史を学んだ後、出版社の編集者に。デザイン専門誌『デザインの現場』編集長を経て、文字デザイン専門誌『Typography』を創刊。デザイン書編集者として20年近く活動。デザイン関係の雑誌・書籍・ウェブサイトの編集のほか、それを読むやワークショップなどの企画・運営を行う。