第1回:小玉文さんのグリーティングカード

第1回:小玉文さんのグリーティングカード

こんにちは。浅草で「」というスペースを運営しているデザイン書編集者の宮後と申します。このコーナーでは、印刷加工や紙の使い方がおもしろい紙ものをご紹介していきたいと思います。まずはお見知りおきのほど、よろしくお願いいたします。

さて、記念すべき連載1回目でご紹介するのは、デザイナー 小玉文(こだまあや)さんのグリーティングカードです。小玉さんは、粟辻デザインを経て、「」というデザイン事務所を設立、最近では国内外のデザイン賞を20以上受賞した日本酒「」のパッケージデザインなどでも知られています。小玉さんが独立前から制作している暑中見舞いや年賀状のデザインが素晴らしいので、今回ご紹介させていただこうと思います。

こちらの写真は2009年の暑中見舞い。金魚すくいで金魚をすくう道具(「ポイ」というそうです)を模したポストカード。「GAファイル」という厚手の紙の間にトレーシングペーパーを挟んで型抜きしたもの。金魚の切手が貼ってあるところがしゃれています。

kingyo_1.png

kingyo_3.png

次は2013年の暑中見舞い。ピストル型の花火のようなイメージです。ピストル本体の部分には「GAクラフトボード」という厚めの紙を使用し、スーパーブラックインキとUVグロスニスを印刷して、ピストルらしい光沢感を表現。子どもっぽくならないよう、全体に渋めのトーンでまとめられています。

pistol_2.png

pistol_4

最後にお見せするのは、2016年の年賀状。干支のサルから連想したバナナがモチーフ。通常ではありえないほど長く成長したバナナは、「自身の成長」という抱負を込めるとともに、2016年の「6」という文字に。上から順にファンタス、GAファイル、キュリアススキンの3種類の紙が貼り合わされ、ファンタスの裏に弱粘着のシール加工が施されていて、本物のバナナの皮をむくように紙をはがすことができるそう。よりリアルに見えるよう、バナナの黒い部分は箔押されています。

banana_2

banana_3

ほかにもまだまだおもしろいグリーティングカードがあるので、ご興味ある方は「BULLET Inc.」のウェブサイトをご覧ください。

▼BULLET Inc.

小玉さんのグリーティングカードは、アイデアとそれを再現するための加工が素晴らしく、毎回楽しみなカードのひとつ。聞けば、これらは小玉さんが実験的に始めたプロジェクトだそう。普段の仕事では納期が限られているため何回も試すことが難しいのですが、こうしたトライアルをしておくと実際の仕事に活かせるとのこと。地道な積み重ねの一つひとつが彼女のデザインのベースになっていると感じました。

宮後優子(グラフィック社)

宮後優子(編集者/Book&Designディレクター)

宮後優子(みやご・ゆうこ)
編集者/Book&Designディレクター。東京藝術大学で美学美術史を学んだ後、出版社の編集者に。デザイン専門誌『デザインの現場』編集長を経て、文字デザイン専門誌『Typography』を創刊。デザイン書編集者として20年近く活動。デザイン関係の雑誌・書籍・ウェブサイトの編集のほか、それを読むやワークショップなどの企画・運営を行う。

https://optiontradingstrategies.net

https://optiontradingstrategies.net